粘表皮癌 Mucoepidermoid carcinoma

唾液腺の病変

解説

粘液産生細胞、類表皮細胞(扁平上皮様細胞)および中間細胞からなる上皮性悪性腫瘍である。

臨床事項

  • 患者平均年齢は約50歳だが、若年女性にもみられる。
  • 約半数は耳下腺に発生、口腔内にも(小唾液腺)発生する。
  • 無痛性の境界不明瞭な腫瘤を形成する。

病理組織所見

  • 粘液産生細胞、類表皮細胞(扁平上皮様細胞)および中間細胞からなる。
  • 腫瘍細胞による腺管や囊胞形成がみられる。
  • 充実性増殖や明細胞増殖を呈する場合もある。

その他

  • 大唾液腺原発例では各種細胞の構成比や組織像によるグレード分類が適用される。
  • 腺様囊胞癌と共に頻度が高い。
  • CRTC1/3-MAML2 融合遺伝子が報告されている。

鑑別疾患

  • 多形腺腫
  • 多形腺腫由来癌
  • 筋上皮腫
  • 筋上皮性癌
  • 扁平上皮癌
  • 明細胞癌
  • 壊死性唾液腺化生

代表画像

無痛性に発育した口底部の腫瘤

  • ガイド無し
  • ガイド有り

表面が正常粘膜に覆われた境界不明瞭な腫瘤が認められる。

表面が正常粘膜に覆われた境界不明瞭な腫瘤が認められる。

粘表皮癌

  • ガイド無し
  • ガイド有り

粘液産生細胞、類表皮細胞(扁平上皮様細胞)からなる囊胞や腺管構造が認められる。

粘液産生細胞(矢印)、類表皮細胞(扁平上皮様細胞)(▲)からなる囊胞(★)や腺管構造が認められる。

  • ガイド無し
  • ガイド有り

粘液産生細胞、類表皮細胞(扁平上皮様細胞)が認められる。

粘液産生細胞(★)、類表皮細胞(扁平上皮様細胞)(▲)が認められる。

  • ガイド無し
  • ガイド有り

(A)明細胞の充実性増殖からなる。

(B)ムチカルミン染色により赤染する粘液産生細胞がみられる。

(A)明細胞の充実性増殖からなる。

(B)ムチカルミン染色により赤染する粘液産生細胞(矢印)がみられる。