線維性異形成症 Fibrous dysplasia

歯槽骨・顎骨の病変

解説

幼若な骨形成を伴う線維性結合組織の増殖性病変である。

臨床事項

  • 多くが単骨性に発生する。
  • 10~20歳代に好発し、女性にやや多い。
  • 顎骨に高頻度にみられ、下顎骨よりも上顎骨に、前歯部よりも臼歯部に好発する。
  • 緩慢に進行し、骨格成長を終えるとともに病変の増大も停止する。
  • 初期には病変と周囲骨との境界は不明瞭で、囊胞状陰影がみられ、硬組織形成が進むとともにすりガラス状の陰影を呈する。

病理組織所見

  • 発育初期では細胞成分に富む線維性結合組織が主体である。
  • 発育とともに不規則な幼若な線維骨梁(Woven bone fiber bone)が形成され、次第にその量を増す。それに伴い線維性結合組織は量と細胞密度を減じる。
  • 骨梁はC字型やY字型を示す線維骨や層板骨がみられる。
  • 周囲の正常骨とはびまん性に移行し、境界不明である。

その他

  • 本疾患は、セメント質骨形成線維腫、セメント質骨性異形成症や家族性巨大型セメント質腫などと共に、線維骨性病変(Fibro-osseous lesions)に属する。
  • MaCune-Albright症候群では、本疾患が多骨性に生じ、皮膚のメラニン沈着(カフェオレ斑)と内分泌異常(女児の性的早熟など)を伴う。

鑑別疾患

  • セメント質骨形成線維腫
  • セメント質骨性異形成症
  • 家族性巨大型セメント質腫

代表画像

パノラマX線画像

  • ガイド無し
  • ガイド有り

左側上顎歯槽部にすりガラス様不透過像がみられる。

左側上顎歯槽部にすりガラス様不透過像(破線内)がみられる。

CT像

  • ガイド無し
  • ガイド有り

左側上顎歯槽部には境界不明瞭なすりガラス様不透過像が認められる。

左側上顎歯槽部には境界不明瞭なすりガラス様不透過像(矢印)が認められる。

頭部X線画像(PA)、オクルーザルX線

  • ガイド無し
  • ガイド有り

頭部X線画像(PA)

オクルーザルX線

左側下顎に境界不明瞭なすりガラス様不透過像が認められる。

頭部X線画像(PA)

オクルーザルX線

左側下顎に境界不明瞭なすりガラス様不透過像(矢印)が認められる。

線維性異形成症(弱拡大)

  • ガイド無し
  • ガイド有り

周囲骨とのびまん性移行により境界は不明瞭である。

周囲骨(★)とのびまん性移行により境界は不明瞭である。

線維性異形成症(強拡大)

細胞成分に富んだ線維性結合組織内に不規則な形状の線維骨梁の形成が認められる。