歯牙腫 Odontoma

歯原性腫瘍

解説

エナメル質、象牙質、セメント質、歯髄などの歯胚・歯の組織からなり、組織奇形(過誤腫)とみなされる。

臨床事項

  • 集合型と複合型に分類される。
  • 集合型
    • 多数の矮小な歯牙様構造物の集合塊が被膜で覆われている。
    • 上顎前歯部に多い。
    • 10~20歳に好発する。
    • 性差はない。
    • エックス線では、矮小な歯牙様不透過像の集合体が一層の透過層に囲まれる。
  • 複雑型
    • 歯の形状をなさず、エナメル質、象牙質、セメント質様硬組織が不規則に混在する塊状増殖からなる。
    • 下顎臼歯部、上顎前歯部に好発し、埋伏歯を伴うことが多い。
    • 10~20歳に好発する。
    • 境界明瞭な不規則な塊状の不透過像を示す。

病理組織像

  • 集合型
    • 多数の矮小な歯牙様硬組織を認める。
    • エナメル質、象牙質、セメント質、歯髄が正常な歯と同様な配列を示す。
    • 歯牙様硬組織間には線維性組織が介在する。
  • 複雑型
    • エナメル質、象牙質、セメント質、歯髄が無秩序に配列する。
    • 硬組織間には歯原性上皮がみられることがある。
    • 周囲に線維性被膜がみられる。

代表画像

集合型のパノラマX線画像

  • ガイド無し
  • ガイド有り

下顎前歯部に埋伏歯を伴う多数の歯牙様不透過像がみられる。

下顎前歯部に埋伏歯を伴う多数の歯牙様不透過像がみられる。

集合型の切除組織標本

多数の矮小な歯牙様硬組織が認められる。

集合型(弱拡大)

  • ガイド無し
  • ガイド有り

矮小な歯牙様硬組織では、エナメル質、象牙質や歯髄が正常な歯と同様な配列を示す。

矮小な歯牙様硬組織では、エナメル質(▲)、象牙質(★)や歯髄が正常な歯と同様な配列を示す。

集合型(強拡大)

  • ガイド無し
  • ガイド有り

エナメル質、象牙質が認められ、未熟な石灰化物、歯原性上皮もみられる。

エナメル質(E)、象牙質(D)が認められ、未熟な石灰化物(★)、歯原性上皮(▲)もみられる。

複雑型(弱拡大)

  • ガイド無し
  • ガイド有り

癒合した3本の埋伏歯とともに摘出された歯牙腫は歯の形態をなさない塊状を呈する。

癒合した3本の埋伏歯(★)とともに摘出された歯牙腫は歯の形態をなさない塊状を呈する。

複雑型(中拡大)

エナメル質様、象牙質様、セメント質様硬組織の無秩序な配列がみられる。