白板症 Leukoplakia

口腔粘膜疾患

解説

  • 白色の板状ないし斑状を示す病変の臨床診断名である。
  • 臨床的にも病理学的にも他の疾患に分類されない白斑病変である。
  • 過角化のため肉眼的に白くみえる。
  • 組織学的に上皮性異形成の有無とその程度が重要である(上皮の過形成→上皮性異形成→上皮内癌→浸潤癌)。
病理検査前の臨床診断
白板症
病理診断
過角化・過錯角化・上皮過形成(これのみが本来の白板症)、上皮性異形成、上皮内癌、扁平上皮癌

臨床事項

  • 白斑状、白板状(隆起性)を呈する。
  • 舌、歯肉に好発する。
  • 中年以降の男性にやや多い。
  • 擦過により除去できない。
  • 約5%が癌化するとされる。
  • 病理組織学的な上皮性異形成が癌化すると考えられる。

病理組織所見

  • 過角化、過錯角化がみられる。
  • 有棘層の肥厚がみられる。
  • 類滴状の上皮脚がみられる。
  • 細胞内の角化がみられる。
  • 基底細胞の増殖による層状化がみられる。

鑑別疾患

扁平苔癬 、上皮内癌、扁平上皮癌

Key words
過角化、上皮肥厚(過形成)

代表画像

舌白板症

舌縁部に白色斑状の病変がみられる。

白板症(上皮性異形成を伴わない角化亢進)

正角化の亢進がみられるが異型性に乏しく、上皮性異形成を伴わない正角化亢進に相当する。

白板症(上皮性異形成を伴う錯角化亢進)

上皮は錯角化亢進を示し、上皮脚の類滴状、不規則な伸長がみられる。有棘層では細胞や核の大きさ・形態の不整、N/C比の増大が認められる。錯角化亢進を伴う上皮性異形成に相当する。