解説
口腔粘膜の悪性腫瘍は扁平上皮癌が大部分の症例を占める。
臨床事項
- 中高年に好発し、男性に多い。
- 好発部位は舌が最も多く、次いで歯肉、頬、口底、口蓋である。
- 肉眼分類では、増殖形態により1) 表在型、2) 外向型、3) 内向型および4) 分類不能型に分ける。
細胞所見
口腔粘膜(舌、歯肉、頬、口底および口蓋粘膜)はいずれも重層扁平上皮に覆われているが、それぞれの部位により性状が異なる。
- 咀しゃく粘膜:角質層、顆粒層、有棘層、基底層からなる上皮;歯肉、硬口蓋
- 特殊粘膜
- 裏装粘膜:表層、有棘層、基底層からなる上皮;口唇粘膜、頬粘膜、軟口蓋、口底
角化の見られない粘膜から採取された材料に角化細胞(角化物)を多量に認める場合は、過角化が生じていることを意味する。
細胞診における前癌病変および扁平上皮癌の診断は、細胞異型とその程度に基づき診断される。
細胞所見
- 核腫大、核の大小不同、クロマチン増量、多核化、核小体の増大、核分裂像がみられる。
細胞質の所見
- 細胞質の肥厚、N/C比(核/細胞質比)の増大、形態不整(オタマジャクシ状、フィラメント状)、オレンジG光輝性が認められる。