AIDS(後天性免疫不全症候群) Acquired immunodeficiency syndrome

口腔粘膜疾患

解説

Human immunodeficiency virus (HIV)に感染し、免疫能の低下により様々な全身症状、日和見感染や腫瘍が生じる症候群である。

臨床事項

  • HIVの感染症(体液感染、垂直感染など)である。
  • CD4+リンパ球の減少による細胞性免疫不全である。
  • 無症候性キャリア、エイズ関連症候群を経て発症する。
  • 口腔内ではカンジダ症、Kaposi肉腫、毛状白板症、ヘルペスウイルス感染やアフタ性口内炎などがみられる。

病理組織所見

  • Kaposi肉腫
    粘膜上皮下に血管様の裂隙形成を伴う紡錘形細胞の増殖からなる腫瘍である。
    炎症性細胞浸潤や出血がみられる。

鑑別疾患

血管肉腫

代表画像

口腔のKaposi肉腫

硬口蓋前方に赤褐色腫瘤状を呈する。

Kaposi肉腫(弱拡大)

粘膜下に結節状の腫瘍組織が多数認められる。

Kaposi肉腫(中拡大)

血管様の裂隙形成を伴う紡錘形細胞の増殖が認められる。

Kaposi肉腫(強拡大)

  • ガイド無し
  • ガイド有り

軽度の異型性をもつ紡錘形細胞の増殖と血管様裂隙が認められる。

軽度の異型性をもつ紡錘形細胞の増殖(波線)と血管様裂隙球(矢印)が認められる。