乳頭腫 Papilloma

口腔粘膜疾患

解説

口腔粘膜上皮が直下の線維性結合組織を伴って外向性、乳頭状に増殖する良性上皮性腫瘍である。

ヒトパピローマウイルス(Human Papilloma Virus: HPV)の感染に関連するとされる。

臨床事項

  • 舌、口蓋、口唇、歯肉に好発する。
  • 乳頭状、疣贅状、樹枝状、小顆粒状やカリフラワー状を呈する。

病理組織所見

  • 重層扁平上皮はその下の血管結合組織芯を伴い、外向性、乳頭状に増殖する。
  • 基底細胞の重積、有棘層の肥厚がみられる。
  • 上皮は過角化や過錯角化が認められる。
  • 上皮の上層にはコイロサイトーシス(空胞化した細胞)がみられる。

鑑別疾患

疣贅状扁平上皮癌、疣贅性黄色腫、乳頭状過形成

代表画像

軟口蓋粘膜の乳頭腫

広基性で表面が小顆粒状の腫瘤が認められる。

乳頭腫(弱拡大)

口腔粘膜上皮がその下の血管結合組織芯を伴い、外向性に乳頭状に増殖する。

上皮が過角化や錯角化を示し、辺縁の上皮脚は、内下方に伸長する。

血管結合組織芯

毛細血管が豊富な樹枝状の細い血管結合組織が認められる。

コイロサイトーシス

表層部には核周囲が空胞化した細胞(コイロサイトーシス)がみられる。