悪性リンパ腫 Malignant lymphoma

口腔粘膜疾患

解説

リンパ節、リンパ装置に発生する系統的なリンパ球系の悪性腫瘍である。

  • リンパ節などリンパ装置に発生するリンパ球系細胞が腫瘍性に増殖する。
  • 大部分は頸部リンパ節に発生する(節性リンパ腫)。
  • 口蓋、咽頭などのWaldeyer輪、口腔粘膜にも発生する(節外性リンパ腫)。
  • ホジキンリンパ腫と非ホジキンリンパ腫に大別される。
  • わが国では非ホジキンリンパ腫の方がホジキンリンパ腫より多い。
  • 非ホジキンリンパ腫はB細胞リンパ腫、T細胞リンパ腫、NK細胞リンパ腫に分類される。
  • 血清可溶性IL-2レセプター(sIL2R)がホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫のいずれにも高値を示す。
  • 確定には生検が必要である。
  • 免疫染色マーカー(おもにCD)発現確認による病理組織学的診断が重要である。
  • リンパ節生検では、最も腫大したものが検体として適切である。

鑑別疾患

リンパ節炎

B細胞リンパ腫の代表疾患

①びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫・非特定型(Diffuse large B-cell lymphoma, NOS)(DLBCL, NOS)

大型の核をもつB細胞のびまん性増殖からなる。

濾胞構造が認められず、CD20、CD79aが陽性を示す。

②濾胞性リンパ腫(Follicular lymphoma: FL)

腫瘍細胞がリンパ濾胞様構造をとって増殖し、CD20、CD79a、Bcl-2が陽性で、t(14;18)(q32;q21)転座をみる。

③EBV陽性粘膜皮膚潰瘍(EBV-positive mucocutaneous ulcer: EBVMCU)

口腔粘膜や皮膚に加齢や免疫抑制状態で起こるリンパ増殖症である。

粘膜・皮膚は潰瘍をなし、リンパ球、形質細胞、形質転換した大型細胞、芽球細胞を認め、CD20、PAX5が陽性、背景のT細胞はCD8陽性T細胞が多い。

T細胞リンパ腫の代表疾患

①成人T細胞白血病/リンパ腫

中型~大型で、多形性核を有する腫瘍細胞のびまん性増殖からなり、CD2、CD3、CD5が陽性を示す。

末梢血に花弁状細胞(flower cell)が認められる。

ヒトT細胞白血病ウイルスⅠ型(Human T-cell leukemia virus type-1:HTLV-1)の感染による。

②末梢性T細胞リンパ腫・非特異型(Peripheral T-cell lymphoma,、NOS: PTCL、NOS)

中型~大型の腫瘍細胞がびまん性に増殖し、核の多形性、大小不同、分裂像、毛細血管増生がみられ、CD3ε、CD45RO、CD4、CD8に陽性(CD4 >> CD8)である。

ホジキンリンパ腫(Hodgkin lymphoma)

悪性リンパ腫で占める割合は日本では5%である。

頸部リンパ節に好発し、その後、全身リンパ節、肺、肝、骨髄などが侵される。

口腔原発は少なく、歯肉、口蓋にみられる。

分類

腫瘍細胞の形態、免疫形質、遺伝子異常、EBウイルス(EBV)関与の有無や臨床症状による。

  1. 結節性リンパ球著明ホジキンリンパ腫(NLPHL)
  2. 古典的ホジキンリンパ腫(Classical Hodgkin Lymphoma: CHL)
    1. 結節硬化型(NS)
    2. リンパ球減少型(LD)
    3. 混合細胞型(MC)
    4. リンパ球豊富型(LR)

病理組織所見

  • 結節性リンパ球著明ホジキンリンパ腫
    大型のlymphocyte predominant(LP)細胞(ポップコーン細胞)がみられる。
    CD15、CD30、EBVは陰性、CD20、CD45、CD79αは陽性を示す。
  • 古典的ホジキンリンパ腫
    2核以上のReed-Sternberg細胞、単核のHodgkin細胞が認められる。
    CD15、CD30は陽性、EBV陽性の頻度は亜型により異なる。

代表画像

びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫・非特定型(Diffuse large B-cell lymphoma, NOS)(DLBCL, NOS)

  • ガイド無し
  • ガイド有り

中型~大型の類円形細胞の増殖がみられる。

核縁近くにに2~4個の核小体が認められる。

中型~大型の類円形細胞の増殖がみられる。

核縁近くにに2~4個の核小体が認められる(矢印)。

CD20免疫染色で陽性を示す。

CD79a免疫染色で陽性を示す。

濾胞性リンパ腫(Follicular lymphoma: FL)

  • ガイド無し
  • ガイド有り

比較的均一な濾胞様結節が増生する。

比較的均一な濾胞様結節(★)が増生する。

小~中型の異型細胞の中に大型の異型細胞が少数みられる。

CD10免疫染色で陽性を示す。

CD20免疫染色で陽性を示す。

Bcl-2免疫染色で陽性を示す。

EBV陽性粘膜皮膚潰瘍(EBV-positive mucocutaneous ulcer: EBVMCU)

口腔粘膜上皮は欠如し潰瘍をなす。

  • ガイド無し
  • ガイド有り

小型細胞、中型細胞や免疫芽球様の大型細胞がみられる。

小型細胞、中型細胞や免疫芽球様の大型細胞(矢印)がみられる。

CD20免疫染色で大型細胞は陽性を示す。

EBER陽性を示す(in situ hybridization、ISH)。

CD30免疫染色で大型細胞は陽性を示す。

背景の小型細胞はCD8陽性T細胞が多い。

末梢性T細胞リンパ腫・非特定型(Peripheral T-cell lymphoma, NOS: PTCL, NOS)

中~やや大型の細胞のびまん性増殖がみられ、毛細血管の増生を伴う。

末梢性T細胞リンパ腫・非特異型(Peripheral T-cell lymphoma, NOS: PTCL, NOS)

CD3ε免疫染色で陽性を示す。

CD4陽性細胞が多い。

CD8陽性細胞は少ない(CD4 >> CD8)。

ホジキンリンパ腫(Hodgkin lymphoma)

  • ガイド無し
  • ガイド有り

古典的ホジキンリンパ腫 混合細胞型(CHL, MC)

Hodgkin細胞やReed-Sternberg細胞が認められる。

背景のリンパ球、組織球、好酸球に異型性はみられない。

古典的ホジキンリンパ腫 混合細胞型(CHL, MC)

Hodgkin細胞(白矢印)やReed-Sternberg細胞(黄矢印)が認められる。

背景のリンパ球、組織球、好酸球に異型性はみられない。